
清水 峰生(しみず みねお)

1938年12月15日生まれ。
日大芸術学部出身、1964年に小林隆とブルー・ハワイアンズ、山口軍一とルアナ・ハワイアンズ、白石信とナレオ・ハワイアンズ等数多くのバンドを経て現在も第1線のプロ・ミュージシャンとして活躍中。99年で現役40年を迎えた。ウクレレスクールの講師やハワイアンバー「布哇庵」(新宿)のオーナーという顔も持つ。 |

NUA創立40周年記念パーティ(99.6)
ハワイアン歌手・竹本ひろみさんと
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ますますヒートアップする日本のウクレレ&ハワイアンブーム。そんな昨今のブームを長年にわたってウクレレやハワイアンの活動をされている方はどういう思いで見ているのでしょうか?今回より始まる「コールズ★インタビュー」。第1回は、ハワイアンのベテランミュージシャン・清水峰生さんの登場です。
コールズ 最近のウクレレブームについてどう思われていますか?
清水 功罪あい半ばだね。まず若い人がウクレレやハワイアンに興味をもってくれた。これは僕らハワイアンを長い間やってきた者にとっては嬉しい。またブームのおかげで教本やCDもたくさん出た。僕らがハワイアンやウクレレを始めた頃なんか資料が少なかったからまさに隔世の感があるよね。
コールズ ブームのおかげでウクレレが通年で楽器屋に並ぶようになりました。ウクレレが楽器としても認められたような気がしますが。
清水 それは違うと思う。楽器屋は売れるからウクレレを全面に出しているだけ。相変わらず楽器とはいえない代物も店頭に出している。それに売ったら売り放しでアフターフォローやケアがなっていない。もちろんちゃんとしてくれる店もありますよ。だけど、僕から言わせればそういうお店は多くない。ブームの悪い面の一つだね。
コールズ ブームのマイナス面としては他にどういうことがありますか?
清水 ブームは所詮ブームだからね。うん。やがて熱もさめるでしょ。ポロポロ弾いていて、やがて飽きが来て、押し入れの奥にしまわれたり、ゴミにだされたり・・・そういう日が必ずくる。それは悲しいね。いかにウクレレにずっと親しんでもらうか、それを考え実行するのが僕らとか楽器屋さんの使命だと思う。
コールズ 若い人たちはウクレレでハワイアンだけではなくロックやポップス、映画音楽などに挑戦していますが、その点はどうでしょうか?
清水 これはねぇ、ハワイアンをやってきている僕が言うのは意外と思うかもしれないけど、「ウクレレというのはハワイアンの伴奏楽器だけではない」と常々思っているんです。あんな敷居が低いけど奥が深く、表現力に富んだ楽器っていうのは無い。ウクレレアフタヌーンっていうグループがあるじゃない。この前のNUA(日本ウクレレ協会)の記念パーティーにも来て演奏していたけどさ。正直驚いた。アタマでは、ハワイアンだけじゃないと思っているけど、ああいう風に「テキーラ!」や「メロンな気持ち」をウクレレでやるという発想は僕らからはなかなか出てこない。「なんだアイツら、ハワイアンじゃないじゃないか」って言う人もいたけど、違うんだな。ウクレレにはジャンルを越えた表現力がある。それを彼らは実証したんですよ。
コールズ それはオオタサンやiwaoさん(山口岩男さん)、サザンの関口さんの影響もあるでしょうね。
清水 そう。iwao君はいいよねぇ。彼は元々ギタリストだけど、ああいう若い人が出てきたのはすごく喜ばしいことだと思っています。
コールズ ウクレレを始めた人にアドバイスをお願いしたいのですが。
清水 はじめは適当にぽろぽろ弾いているだけでも楽しいけど、やっぱりキチンとやった方がいい。今は教本やインターネットのホームページとか沢山教材があるからね。ある程度弾けるようになったら音楽理論も勉強して欲しい。理論といっても中学校の音楽で習ったレベルで十分。そうすると、自分でコードをつけられたり、みんなで演奏する際にさっと合わすことができる。すごく世界が広がるし、一生ウクレレが楽しめる。ぜひそうなって欲しいよね。
コールズ ウクレレ一つで世代を越えたコミュニケーションもできますよね。
清水 そうだね。今の若い人はケータイを持っていないと友達できないし、さみしいって言うけどさ、ウクレレあればそういう意味で携帯電話なんかいらないよ。ケータイするなら電話じゃなくてウクレレだよね。(笑)
(99年・7月 六本木ラナイにて)
ハワイアンバンドの活動をはじめ、よみうり文化センターの音楽講師やスバリゾートハワイアンズ常磐音楽舞踏学院講師など幅広い活躍を見せている清水峰生さん。今回のインタビューでは時には優しく・時には厳しくウクレレの現状を語ってくれました。それはウクレレの第一人者ならではのものでした。ホームページも開設するとの事。今後の清水さんの活動に目が離せません。 |
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