Collector's Ukulele Series-4
Roy Smeck Vita Uke (By Harmony)
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回のウクレレをご紹介する前にまず、Roy Smeckについてお話をしたいと思います。 Roy Smeck (ロイ スメック) 1900年ペンシルバニア州・リーディング生まれ。1994年に他界。 ”Wizard of the strings ”(弦の魔法使い)の異名、ニックネームを持つ。 幼い頃おじさんから教えてもらったJaws harp harmonicaが最初の楽器で、その後、父親から3つのギターコードを学びます。 そして後は独学で当時、手にする事が出来た色々な弦楽器を手がけて、ギター、テナーギター、バンジョー、テナーバンジョー、バンジョーユーク、各ウクレレ、ハワイアン スティールギターを弾きこなすに至り、ミュージシャンとしての人生を歩みます。 926年に、今回紹介するVita Ukeの名前の起源でもある映画に初出演。 それ以前は映画には音楽がなかったり、もしくは実演でしたが、この年、ワーナーブラザーズが画期的なシステムを開発し、映画界に大きな影響を与えます。 Vitaphone と言うシステムで、プロジェクターサウンドマシーンです。 簡単に言うと、スクリーンの画像に合わせて33 1/3回転のレコードを再生する機械です。 (33回転が一般化されるのは50年になってから) 最初にVitaphoneを用いて、全米プロモーションされた映画は"Don Juan"という映画ですが、当時は主作の映画以外に短い娯楽映画が放映されていました。 "Don Juan"には"His Pastimes"というタイトルの短編映画が放映され、その映画にRoy Smeckが登場します。これを機会に彼の知名度は爆発的に増し、先60年の音楽家人生が始まります。 1928年頃にHarmony社からタイアップの話が持ち上がり、出来上がったのがVita Seriesでウクレレ、テナーウクレレ、ギター、テナーギターが同じデザインで発売されます。 その販売の成功の後、Harmony社はVita以外のウクレレ、ギター、バンジョー、スティールギターなどの楽器のタイアップ契約をほぼ独占的に結びます。 世界的な知名度となったロイは、1939年にはヨーロッパを始め、日本や韓国にもツアーをしました。 楽器のタイアップ、コンサートでの演奏以外にも何百ものレコーディング、そして楽器の教則本等で大活躍。前回紹介しましたWendell Hall同様、ウクレレ界にも大変な影響を与え残した大ヒーローです。 て、本題のVita Ukeですが、当時大手楽器メーカーであったHarmony社が所有していた原材料は膨大で、選別された原材料も数多く持っていた様です。 Vita Ukeのバックとサイドに使われている材質はマホガニーですが、大変大きく成長するマホガニーの木の密度の高いトラ目状の部分を使用しているVita Ukeも生産初期にはあった様です。 (写真:右・クリックすると拡大写真を表示します) 特徴は言うまでも無く独特のシェープとアザラシのサウンドホールです。(写真:左) 形状は当時低価格で一般普及したフラットマンドリンがその原型ですが、アザラシのサウンドホールが起用された理由はわかりません。Vitaphoneとなんらかの関係があるのかも知れませんね。 トップは極薄のスプルースが使用されていますので、とても甘い音色です。チューナー(ペグ)は発売当初からしばらくの間はオリジナルチューナー(写真:右)を着用しておりましたが、ある時からエルトン社のデラックスタイプ(マーティン5K,スタイル2,3、ギブソンウクレレに一般的に使われていた)に変更した様です。オリジナルのまま現存する数はあまり多くないと思います。 トップが薄い為、アザラシのサウンドホールの所が欠けてしまった物やブリッジが取り替えられた物を何度か見ました。 armony社のVita Uke販売への意気込みを感じさせるのが、このオリジナル専用ケースです。ケースにまで、「Roy Smeck Vita Uke」 の名前を入れての販売は、当時としては大変珍しい事です。(写真:右) コレレクターの一品としてだけではなく、完成された演奏用の楽器ですので音質、音量も気に入る事間違いありません!! ヴィンテージの甘い音色のウクレレをお探しでしたら、このVita Ukeも候補に入れて下さい。 掲載しているRoy SmeckのCDはamazonで入手可能です。ジャケット画像かこちらをクリックしてみてください。 |
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(2002.November) |
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